【埼玉/米】有機稲作の技術研究・120種の微生物群で発酵肥料作りを行う循環型農業を実践 | MERCi MARCHE

2021/02/17 23:54

アールキューブエコ(埼玉県杉戸町)生産者:網本欣一・朝香


長年の研究で選び抜かれた自然界の微生物群で、米糠や籾殻をしっかり発酵させ、田んぼに負荷がない状態で戻す「循環型の農法」でお米を栽培しています。


美味しい玄米が食べたい!との想いから、脱サラして、縁もゆかりもなかった埼玉県で新規就農をして15年程経ちました。人が好き、生きもの好きが高じて当初から手植え、稲刈りイベントを開催し続け、生きもの&植物調査も8年以上継続しています。農薬類不使用の稲作のサポートをし、現在までに、長野、三重、奈良、佐賀、長崎、京都、高知の農家さん達と共同研究を行ってきました。


現在栽培している農地は、30年前から無農薬・無化学肥料・除草剤不使用の栽培に取り組んでいる土地で土壌はとても豊かです。この地域での農薬の空中散布もはなく、安全を第一に考えて種の段階から無農薬で育苗しているため大変希少です。肥料・堆肥も全て自家製で、手間暇惜しまず丹精込めて作ったものを使用しています。

農法は、露地成苗稲作を栽培技術の主体に、微生物の研究をされていた先生の有用菌体群(120種の有用菌体群)で、田んぼから出た米糠やもみ殻を発酵させた自家製肥料と堆肥をつくり、田んぼに還しています。この120種は元々日本の古来の手付かずの自然には本来いたもので、現在の環境で壊れてしまった土壌中の微生物の生態系を元に戻し、環境負荷に配慮した稲作に取り組んでいます。土壌が再生することで、そこで育った作物に有用菌体群が含まれ、それを食べる人間の体内、特に胃腸への菌活となり、人間の体にとっても有用であること、畜産や水産も含め、出来るだけのものが循環してゆく農業を目指します。

埼玉県の東端、杉戸町は、内陸で夏は高温で曇天、河川は下流域で、パイプラインからの盛夏の用水は35℃を超える高温、稲作の栽培環境としては全国でも最も過酷な地域で、平均反収も最下に属します。また都心に近く下流域で外来種も多い地域です。ただ、環境が整わないからこそ、人間が努力するしかない地域。その中で地力を保ち、より高品質なお米を生産し、生きものの生態系を守るには、従事者の情熱と探究心と工夫に付きます。各地を回らせていただいて、ここ埼玉で有機の稲作が確立するなら、おそらく全国どこでも有機の稲作が可能になるのではと考えています。

稲が本来持つ力を発揮できるよう、農業に携わる人間が稲に寄り添った稲作をしたい、食べる人にとって美味しく安全は元より、土・水など地域環境、生きもの、植物に出来るだけ負担なく育てたいと考えています。私からお米に想いを向けるというよりはいつも成苗の美しさと自然の中に育っていく美しさと強さを感じていて、生命の美しさを感じながらお米作りに関わらせていただいているなと考えています。お米作りは日本人の文化・自然との共生そのものです。それが失われないように守っていきたいです。


[栽培方法:農薬・化学肥料・除草剤を不使用。自家製の米ぬか発酵肥料、発酵もみ殻堆肥使用。農薬類不使用の他、除草剤のみの減農薬栽培も営む。※当マルシェで販売しているお米は、全て農薬・化学肥料・除草剤を不使用のみ扱っています。]




循環に基づいた「稲が本来の力を発揮できる稲作づくり」



<土づくりの特徴>


自然界から選抜された、120種もの農業に有用な微生物群を使い、自家製で米ぬか発酵肥料、発酵もみ殻堆肥などを仕込んで、田んぼから採れたものを発酵して田んぼに還す、「循環」をキーワードに営んでいます。

米ぬかや、もみ殻をただ戻すだけでは、田んぼに負担がかかる場合が多く、微生物群での発酵を加えて還すからこそ、循環が成立します。微生物群で十分に発酵を経た米ぬかは、田んぼの微生物のエサとなり、土の微生物の生態系を豊かにします。それぞれの微生物が出す酵素(タンパク質)も同時に多様化して、その結果、作物へより多様な酵素(タンパク質)や、土中のミネラルなどを稲に提供できるようになり、稲と土の結びつきが強くなります。

また、もみ殻には多くのケイ酸が含まれます。通常はもみ殻は土に戻りにくく敬遠されがちですが、しっかり強い微生物を選び発酵で使える形にして還すと、高温化対策や稲の組織の強化になるばかりか、稲が土から吸収したケイ酸は種である玄米の粒も丈夫にします。

このケイ酸は人間にもとても不足している成分ですが、お米や野菜が育つ土に、現代では全国的に不足が懸念されている成分です。(十分だという田は10%未満とも言われ、体の中では、皮膚や髪の毛や爪、血管、細胞壁を丈夫にし、体を作る上でとても重要な要素です。)このような肥料、堆肥がより効果的に稲に届くよう、土壌分析も学び、土の現状を良く知ってから発酵肥料や堆肥をどう使うか計画を立てて栽培をしています。結果、過剰施肥の弊害と言ったお米の余計な雑味などがなく、すっきりとした自然な甘味が味わえます。





<栽培のこだわり>


稲が本来の力を発揮できる栽培として、苗を大人の苗(成苗)まで、ハウスではなく露地で育てて田植えをする、成苗稲作を行っています。

成苗とは、稲の苗の葉っぱが4枚完全に出て、5枚目が半分出ている、つまり4.5葉令まで育てた大きい苗のこと。その成苗で田植えをする技術体系のことを成苗稲作といいます。対し、一般的な慣行栽培では、幼い稚苗(ちびょう)、2枚半葉っぱが出た2.5葉令の苗を植えます。普通に慣行栽培のように稚苗を植えず、成苗まで育てて田植えをする理由は、「稲がどう成長していくか」を主軸にしているからです。

4枚半葉っぱが出ている頃は
・葉で充分に光合成ができる
・根っこが発達し、爆発的に増える時期
このタイミングで田植えをすると、田植えによるダメージからの回復がより早く、田植え=移植のリスクを軽減できます。



<露地で育てる>


自然の温度に則して苗が育つので植物の生理を乱さずに育つ良さがあります。ハウス育苗の場合、4月の育苗期では、ハウス内は暖かいのですが、田植えをする田んぼはハウスより低い気温。本来は、植物は暖かくなるごとに成長していきますが、ハウス育苗では、植物本来の成長条件とは逆行して、暖かいハウスから寒い田んぼに田植えをすることになりがちです。植物が持つ本来の生理に添おうとすると、露地育苗に辿り着きます。

また、ハウスの中では加温により成長が早い分、組織が柔らかくなりがちですが、露地で気温の低い夜も経験すると、丈夫にがっちりと育ちます。組織がしっかり詰まって育つと病害虫へのリスクが減らせて、より殺菌剤、殺虫剤などの農薬に頼らない稲作が可能になってきます。その後の気候変化にも、稲が主体的に順応して成長することが期待できます。

露地成苗が生育してゆくと、稲株姿は逆三角形で太い茎、大きな穂の稲姿となり、お米の品質は、一粒あたり充実して重みがあり、しっかり実る傾向があります。しっかり実るということは、種としての次世代に継ぐ力があるということ。味も良くなり、すっきりとした自然な甘みが際立つ良さがあります。

アールキューブエコでは、このような成苗稲作の体験と、農薬不使用田んぼに息づく多様な生きものの世界を提供したいと、毎年、田植え、稲刈り、生きもの調査イベントも開催。


苗箱あたり60~80g (通常、慣行栽培の場合200g)の種籾しかまかないことで、苗同士が光競合などを受けずにしっかりと元気に育ちます。さらに、露地栽培で成苗まで育苗させることで、生命力が溢れるお米ができます。



生きもの調査イベントの様子



令和3年度 収穫用の育苗 真っ只中!

今の時期はひたすら、①〜⑥の工程の繰り返しです。ここから2ヶ月あまり続きます。
無農薬のお米はちょうど、⑤まで終わりました。

塩水選(丈夫な種を塩水の浮力で選別)
温湯消毒(通常、薬剤による消毒が多いが、60°ぐらいのお湯で消毒)
温湯消毒した種籾を冷まして、浸種(芽出しのために水につける。シャワーになっているのは、つけている水の水温、含有酸素が、均一になるため)
播種(苗箱に、土、苗用肥料、種もみをセット)
苗箱を苗床に並べて、たっぷり水をあげる。一週間ぐらい蒸散しないようにシートをかけて、保温・保湿。(発芽の適正温度をキープし、ムラができないように工夫)
シートを外して、水やりを行い、成苗まで育てる。


作業の様子[2021年4月現在]




[土を作る様子]
自家製の発酵肥料を仕込んで、焼土と肥料を土壌を作ります。
下はその一部を紹介。おから発酵肥料は大きな塊になってしまうので、機械で細かく粉砕し、焼土と混ぜ合わせます。
いくつかの肥料も同様に機械でブレンド。田んぼ毎に土壌分析を行い、それぞれの状態に合わせて、肥料の配合を変えています。




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